HiSAY JOURNAL
HEALTHY AGING SERIES / 08

血管を守ることは、
これからの人生を守ること。

― 血圧・血管の健康から考える、
これからの10年、20年 ―

FOR 60s / 70s / 80s & ALL GENERATIONS

朝の光に包まれた横浜の公園を、笑顔で一緒に歩く60代から70代の男女

歩く。旅に出る。趣味を楽しむ。家族や友人と笑う。地域で役割を持つ。そんな毎日を支えているのが、全身へ酸素と栄養を届ける血管です。

血圧や血管のことを知るのは、数値に振り回されるためではありません。これから先の時間を、自分らしく楽しむ土台を整えるため。 今から始められる小さな一歩を、一緒に考えてみましょう。

01

血圧は、身体のすみずみへ
力を届けるためのもの

心臓が血液を送り出すとき、血液が血管の壁を押す力が血圧です。血液は、脳、心臓、腎臓、筋肉などへ酸素や栄養を運び、身体が動き、考え、回復するための手助けをしています。

家庭や健診で見る上の値(収縮期血圧)と下の値(拡張期血圧)は、心臓が縮んだ時・ゆるんだ時の目安です。1回の数値だけで決めつけず、落ち着いた状態で継続して測り、変化を医療者と共有することが大切です。

02

年齢とともに変わる血管。
だから、いたわる習慣を

血管には、血液の流れに合わせてしなやかに広がる性質があります。年齢を重ねる中で、血管の弾力性が低下したり、動脈硬化が進んだりすることがあります。塩分のとり過ぎ、喫煙、運動不足、体重、睡眠不足なども、血圧や血管の状態に関わります。

変化が起こりうるからこそ、毎日の過ごし方を整える意味があります。すべてを完璧にする必要はありません。今の生活に合う方法を、少しずつ見つけていきましょう。

03

高い血圧をそのままにしない。
未来の選択肢を守るために

高血圧は自覚症状がないまま続くこともあります。しかし長い間、血管に負担がかかると、脳卒中、心臓の病気、腎臓の病気などのリスクと関わることが分かっています。怖がるための知識ではなく、早めに気づき、相談し、必要な管理につなげるための知識です。

健診で血圧について指摘された、家庭血圧がいつも高め、息切れ・胸の痛み・急な手足の動かしにくさなどがある場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。治療中の方は、薬を自分の判断で中止・変更せず、医師や薬剤師と一緒に続け方を考えましょう。

04

血管を守る10の小さな習慣

生活習慣は、血圧だけでなく、歩く力、眠り、食べる力、気分にもつながっています。「できそうな一つ」から始めることが、続く工夫です。

01

歩く

体調に合わせ、5分でも歩く。無理なく身体活動を増やす。

02

筋力を保つ

椅子から立つ、階段を使うなど、日常の動きも力になる。

03

食べ方を整える

野菜・果物・豆・魚などを、楽しめる形で食卓に。

04

塩分を見直す

汁物は具を増やす、調味料は「かける」より「つける」。

05

よく眠る

起きる時刻や朝の光を意識し、自分の睡眠リズムを整える。

06

体重を確かめる

極端な制限ではなく、適正な体重を医療者と相談する。

07

たばこを避ける

禁煙は血管の健康にとって大切な一歩。支援も活用できる。

08

飲酒はほどよく

飲む量や休む日を見直し、飲酒習慣を医療者と話す。

09

人とつながる

会話、趣味、地域の場。心がほぐれる時間を暮らしに。

10

測る・受ける

家庭血圧と定期健診を、身体からの声を聞く習慣に。

持病や治療の状況によって、適した運動・食事・飲酒量は異なります。無理な運動や極端な食事制限を始める前に、医療機関や専門職へ相談してください。

05

家庭血圧を、
自分を知る時間にする

起床後1時間以内、排尿後、朝食・服薬前に。座って1〜2分安静にして測ります。

就寝前、入浴や飲酒の直後を避け、落ち着いて測ります。

記録

測った値を記録し、診察時に見せましょう。測定法は機器の説明書や医療者の助言も確認します。

家庭血圧は、日々の状態を知る大切な手がかりです。日本高血圧学会は、家庭での継続的な測定と記録を推奨しています。高い値が続くときも、慌てず、記録を持って相談しましょう。

06

これまでのHealthy Agingは、
血管の健康にもつながっている

朝の散歩で身体を動かすこと。筋肉を保つこと。眠りのリズムを整えること。食事を味わい、腸を整えること。好きなことを学び、人とつながること。これまでのシリーズで考えてきた一つひとつは、別々の話ではありません。

日々の選択が重なり合って、身体と心の土台になっていきます。自分に合ったリズムを見つけることが、これからの時間を豊かにする健康づくりです。

07

血管を守ることを、
地域の未来へつなげる

健康長寿は、個人のがんばりだけに委ねるものではありません。歩きたくなる道、健診を受けやすい仕組み、気軽に集える場所、相談できる医療、学びや役割を持てる地域があれば、健康づくりの選択肢は広がります。

自治体・地域

健診、運動、食、交流の場を、暮らしの近くにつなげる。

企業

健康経営を通して、働く人と家族の生活習慣を支える。

医療・学校

予防と相談、世代を超えた学びを地域と結び直す。

60代・70代・80代の方々が、経験を生かし、働き、学び、地域で活躍し続けることは、社会の大きな力です。

A HEALTHY NEXT STEP

血管を守ることは、
これからの人生を守ること。

今日の散歩を少し楽しむ。食卓の塩分を一つ見直す。血圧を測って記録する。誰かに近況を話す。その小さな行動が、未来の自分をいたわる時間になります。

HiSAYは、科学的な知見を大切にしながら、健康長寿を、地域を支える力へつなげていきます。

参考文献・公的資料

  1. 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019. 日本高血圧学会公式サイト
  2. 厚生労働省. 健康日本21(第三次). 厚生労働省公式資料
  3. World Health Organization. Guideline for the pharmacological treatment of hypertension in adults. 2021. WHO公式資料
  4. World Health Organization. WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020. WHO公式資料
  5. 国立循環器病研究センター. 高血圧・循環器病に関する情報. 公式サイト