健康・予防 | Healthy Aging
朝の30分が、
これからの10年を変える
― 朝日を浴びながら歩くという健康習慣 ―

これから先も、自分の足で歩き、よく眠り、毎日を元気に過ごす。そのために、特別な道具を使わず始められることの一つが、朝、外へ出て歩くことです。
朝のウォーキングには、身体を動かすことに加えて、朝の光を受けるという二つの側面があります。無理のない範囲で続けることが、日々のリズムを整え、これからの生活を支える土台になります。
01
朝の光が、体内時計を整える
私たちの身体には、睡眠と覚醒、体温、ホルモン分泌などの約24時間のリズムがあります。このリズムを外の時間に合わせる大切な手がかりが光です。
朝の光が目に入ると、その情報が脳の体内時計に伝わり、日中の活動と夜の休息に向けたリズムづくりを助けます。太陽を直接見つめる必要はありません。屋外の自然な明るさの中で過ごすことが基本です。
02
朝の光と、夜の眠り
地域で暮らす成人を対象にした研究をまとめた系統的レビューでは、光を浴びる量や時間帯と、睡眠の時刻・質との間に関連が報告されています。一方で、研究方法や対象者には違いがあり、「朝の光を浴びれば必ず眠りが改善する」とは言い切れません。
それでも、朝は明るく、夜は強い光を控えるという光のメリハリは、生活リズムを整えるための実践しやすい工夫です。朝の散歩は、光を受けながら身体を動かせる自然な方法といえます。
03
「朝30分」に込めた意味
WHOは成人およびシニア世代に対し、1週間に150〜300分の中強度の有酸素運動を行うことを勧めています。30分の活動を週5日続けると、合計は150分です。
※これは「中強度」で行った場合の計算です。ゆっくり歩く時間がすべて中強度に相当するわけではなく、体力や歩く速さによって運動強度は変わります。会話はできるけれど少し息が弾む程度が一つの目安です。
04
歩くことに、筋力づくりを加える
歩く習慣は心肺機能や持久力を支える一方、脚や体幹の筋力を保つには筋力トレーニングも大切です。WHOは主要な筋群を使う筋力向上活動を週2日以上行うことを勧めています。
回数を競う必要はありません。安全を確保し、痛みのない範囲から少しずつ始めてください。
05
骨の健康は、歩くだけで考えない
ウォーキングは続けやすい活動ですが、歩くだけで骨密度が確実に増えるとはいえません。研究では、ウォーキングを含む複合的な運動や、適切な負荷を用いた筋力トレーニングが検討されていますが、効果の大きさや確実性には幅があります。
骨の健康を考えるときは、ウォーキングに加えて、筋力・バランス運動、十分な栄養、住環境を含む転倒予防を組み合わせることが大切です。骨粗しょう症や骨折歴がある方は、運動を始める前に主治医や専門職へ相談してください。
06
60代からでも、70代からでも、80代からでも
運動習慣は、年齢だけで始める時期が決まるものではありません。大切なのは、今の体調や体力に合わせ、できる量から始めることです。
最初から30分を目指さなくても構いません。玄関の外へ出る、近所を5分歩く、疲れが残らなければ少し延ばす。その積み重ねが自分に合った習慣になります。体調がすぐれない日や、暑さ・寒さが厳しい日は休む判断も大切です。
参考文献
- World Health Organization. WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020.
- Dautovich ND, et al. A systematic review of the amount and timing of light in association with objective and subjective sleep outcomes in community-dwelling adults. Sleep Health. 2019;5(1):31–48.
- Rodrigues IB, et al. The Effects of Walking or Nordic Walking in Adults 50 Years and Older at Elevated Risk of Fractures: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Aging Phys Act. 2021;29(5):886–899.
- O’Bryan SJ, et al. Progressive Resistance Training for Concomitant Increases in Muscle Strength and Bone Mineral Density in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2022;52:1939–1960.
