HSI JOURNAL
HEALTHY AGING SERIES / 04

骨は、何歳からでも
守れる?

― 骨折を防ぎ、自分の足で
歩き続けるために ―

FOR 60s / 70s / 80s

朝日の差す緑豊かな公園を、笑顔で元気に歩く60代から70代の男女

骨を守ることは、
これからの暮らしを守ること。

外へ出る。人と会う。買い物をする。趣味や仕事を楽しむ。そんな自分らしい毎日は、「自分の足で歩くこと」に支えられています。

年齢とともに骨量が低下することはあります。しかし、骨の健康には、運動・栄養・日光・生活習慣・転倒予防など、今日から見直せることがいくつもあります。

「もう年齢だから」ではなく、
「今日からできることがある」へ。

第4号では、骨を怖がるためではなく、これからも元気に歩く未来のために、骨との付き合い方を考えます。

01

骨はずっと同じではありません

骨は、できあがったまま動かない組織ではありません。古くなった骨が少しずつ取り除かれ、その場所に新しい骨がつくられる「骨代謝」を繰り返しています。家を手入れしながら住み続けるように、骨も日々つくり替えられているのです。

年齢を重ねると、このバランスが変化し、骨量が減りやすくなることがあります。特に女性は閉経後に骨量が減少しやすいとされています。一方、骨の健康は年齢だけで決まるものではありません。身体を動かすこと、必要な栄養をとること、日光との付き合い方、転びにくい身体と環境をつくることを、ひとつのつながりとして考えることが大切です。

02

骨密度と骨粗しょう症を知る

骨密度は、骨に含まれるミネラル量をもとに骨量を表す指標です。骨の強さは骨密度だけでなく、骨の構造などを含む「骨質」も関係して決まります。

骨粗しょう症は、骨の強さが低下し、骨折しやすくなった状態です。初期には自覚症状が乏しいこともあるため、検査で自分の状態を知ることが、必要な予防や治療へつながります。

CHECK 01

骨密度検査

腰椎や股関節などを測定する検査があります。年齢、性別、既往歴や家族歴なども含め、医療機関で相談しましょう。

CHECK 02

注意したい骨折

背骨、脚の付け根(大腿骨近位部)、手首、腕の付け根などは、骨粗しょう症で骨折が起こりやすい代表的な部位です。

03

骨を守るための「運動」

骨は、体重を支えたり筋肉が力を出したりするときの刺激を受けています。ウォーキングなどの体重がかかる運動や筋力トレーニングは、骨の健康を支える選択肢です。筋力やバランスを保つことは、転倒予防にもつながります。

WALK

歩く

散歩、買い物、通勤など、暮らしの中で立つ・歩く時間を少し増やす。

POWER

筋力を使う

椅子からの立ち座りなど、脚や体幹を無理のない範囲で動かす。

BALANCE

バランスを養う

安全な支えを確保し、体調や能力に合った練習を選ぶ。

DAILY

日常で動く

家事や庭仕事、階段なども身体活動。続けられる形を見つける。

大切なのは、ウォーキング一つですべてが解決するということではなく、体調に合わせて活動を組み合わせ、続けることです。すでに骨粗しょう症や骨折がある方、強い腰痛・関節痛がある方は、自己流で負荷を増やさず、医師や理学療法士などの医療専門職へ相談してください。

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04

骨をつくるための「栄養」

骨の材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、筋肉や身体の組織をつくるたんぱく質。どれか一つだけではなく、主食・主菜・副菜を基本に、さまざまな食品から栄養をとることが大切です。

BALANCE毎日の食事
Ca

カルシウム

乳製品、大豆製品、小魚、緑黄色野菜など

D

ビタミンD

魚類、きのこ類など。カルシウムの吸収を助ける

P

たんぱく質

魚、肉、卵、大豆製品、乳製品など

特定の食品だけをたくさん食べれば骨が強くなるわけではありません。食事量が少ない、持病や服薬があるなど、必要な量には個人差があります。サプリメントも過剰摂取による不利益があり得るため、自己判断で増やさず、医師や管理栄養士、薬剤師に相談しましょう。

05

日光とビタミンD

ビタミンDは食事からとるほか、皮膚が紫外線を受けることでも体内でつくられます。日光に当たる時間は、季節、地域、時刻、天候、肌の状態、服装や生活環境によって大きく変わるため、「毎日何分なら十分」と一律には言えません。

紫外線は皮膚にも影響します。屋外での活動は、暑さや紫外線対策にも配慮し、生活環境や季節に合わせて適度に取り入れましょう。

朝の光を感じながら散歩する。庭やベランダで植物に触れる。
日光は「浴びる量」だけでなく、安全に外へ出て身体を動かす暮らしの中で考えてみましょう。

06

骨折を防ぐために、
「転ばない身体と環境」をつくる

骨折予防では、骨そのものを守ることに加えて、転倒を防ぐことが重要です。筋力やバランス、視力、薬の影響など身体側の要因と、段差や照明など環境側の要因を、両方から見直してみましょう。

BODY

身体を整える

  • 脚の筋力とバランスを保つ
  • 見えにくさを放置せず、視力を確認する
  • めまいやふらつき、薬の影響を相談する
  • 足に合う、滑りにくい履物を選ぶ
HOME

環境を整える

  • 通り道のコードや物を片づける
  • 小さな段差やめくれた敷物を見直す
  • 階段、廊下、夜間のトイレまでを明るくする
  • 浴室や玄関など滑りやすい場所を点検する
TODAY'S SMALL STEP

今夜、寝室からトイレまでの通り道を歩き、暗い場所やつまずきそうな物がないか、一度だけ確認してみませんか。

骨を守ることは、
骨だけを守ることではありません。

骨折を防ぎ、自分の足で歩くことは、外出すること、人と会うこと、買い物をすること、仕事や地域活動をすること、趣味を楽しむことにつながります。

運動も食事も、完璧を目指す必要はありません。いつもより少し歩く。食卓に一品加える。家の中を整える。小さな選択の積み重ねが、これからの自分らしい生活を支えます。

何歳になっても、自分の足で歩き続ける未来のために。
今日できる小さな一歩から、骨の健康を考えてみませんか。

参考文献・参考情報

  1. 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム. 骨粗鬆症の予防のための食生活. 公式資料.
  2. 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム. 骨粗鬆症予防のための運動―骨に刺激が加わる運動を. 公式資料.
  3. 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム. 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:高齢者版. 公式資料.
  4. 日本整形外科学会. 骨粗鬆症. 一般向け疾患情報.
  5. National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Vitamin D: Fact Sheet for Health Professionals. NIH公式資料.
  6. National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Calcium: Fact Sheet for Health Professionals. NIH公式資料.